堀川建築設計室

CHIEKO HORIKAWA

観光交流館
2008年5月

 昭和初期に竣工したと思われる木造料亭旅館を市の観光交流館に変更するということを知りました。拙宅から歩いて数分、よく前を通るの場所。手前のRC造建物を撤去していたので、気にはなっていたのですがもうすぐ設計入札が行われるということがわかりました。大丈夫だろうか・・・良い建築にできるのだろうか?という気持ちがよぎります。街中の木造建築を現行法に合わせて改修することの困難と、手を加えなければならない前面道路に面するファサード等々新築を建てるより細かい作業の積み重ねが予想されます。重要な文化財では無い、いわゆる中古木造建築、でも残しておきたい・・・その改修範囲の微妙な判断も必要でしょう。近所に出来るということであれば、なおさらいいものを作ってほしいという思いから、プランを作成して、たたき台として活用していただければと思い提出いたしました。

 

 元料亭旅館は善通寺五重塔東に150mほどの場所にあります。玄関は幅3.5mほどの小道に面します。玄関脇の五重塔を望む望楼が、戦前の陸軍華やかかりし往時を偲ばせます。1階は京間8帖に6帖の前室付客室で構成されています。2階は56条大広間(ステージ付き)です。この和室大広間を残そうというのが今回改修の大きな目的のひとつです。
2階大広間を含めた和室や外観のレトロな木造建築観を残すこと、そして観光交流館としての賑わいの演出が必要となります。元料亭ということから、玄関はひっそりと小道に面していましたが、交流館という用途柄、敷地東の前面道路側からアプローチします。アプローチ内外の下足で気軽に立ち寄れるゾーンと、靴を脱いでゆっくり時間を過ごすゾーンを、和建築を生かしながら明るく演出する提案です。

民間木造建築を公共建築に改修する実例が岡山の早島にあります。倉敷や早島あたりの古民家再生の設計集団が設計を担当しています。その事例は、用途の違いはありますが参考になると思い、担当者に紹介しました。ご近所の皆さんにこの交流館の利用について、アンケートをとってみるのも参考になるかも・・・と思い始めています。
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